前回紹介した、AP通信、CNN、ニューヨーク・タイムズのゴ
ジラ報道に引き続き、10月4日、またまたAP通信が、東長崎機関
関係者も多数参加した、八景島におけるエキストラ体験記を配信。
群衆シーンが撮影された7月28日には、主演の釈由美子や、わざわ
ざ米国からやってきたゴジラ・マニアの米国人イラストレーターに
加えて、AP通信東京支局の記者たちも、汗を流していたのである。
「ゴジラのエキストラ、走って走って、ひた走る」と題するこの
記事は、「メガフォンを持ったなで肩の男が、まぶしそうに目を細
めながら、われわれのいる遊園地の広場の彼方にある入り江を指さ
し、『あそこに、ゴジラが海の中から現れます』と言った。」とい
う助監督による状況説明の場面でスタート。
「走る時は、口を閉じてください。口が開いていると、笑ってい
るようにみえるので」と注意するプロデューサーや、セリフや演技
は一切なく、ただひたすら走ることが要求されること、「ヨーイ、
スタート!」のかけ声でエキストラが自衛隊員役の俳優やカメラの
脇を一斉にダッシュする様子、謝礼は支払われず昼食の弁当とゴジ
ラ・シャツがもらえるなど、参加者ならではの体験がギッシリ。ニ
ュース報道にしては珍しく「われわれ」という主語を用いた、異色
のドキュメンタリーである。
東宝では1980年代から、製作費削減と宣伝のためにファンのエキ
ストラ出演を慣例化した。「ファンに出演してもらうと、とてもい
いコミュニケーションになる」というプロデューサーの言葉もうれ
しい。
東長崎機関の独自情報として補足すると、大手映画会社のプロ
デューサー自らが、スタンバイするエキストラの中に迷い込んだ一般
観光客の子供を保護したり、通行止めに戸惑う通りがかりのトラッ
クの運転手に謝ったりする例は、世界広しといえども、この富山省
吾プロデューサーをおいてほかにないであろう。
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