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米大手メディアに、ゴジラ・ブーム! 2

(報告:常岡千恵子)


 東京読売巨人軍・松井秀喜選手のメジャーリーグ移籍決意表明に
湧く日米メディアだが、そのずっと前から、米大手メディアはゴジ
ラに熱い視線を送っていた。もちろん、来る12月14日公開の新作
『ゴジラXメカゴジラ』には、松井も出演!
 前回紹介した、AP通信、CNN、ニューヨーク・タイムズのゴ
ジラ報道に引き続き、10月4日、またまたAP通信が、東長崎機関
関係者も多数参加した、八景島におけるエキストラ体験記を配信。
群衆シーンが撮影された7月28日には、主演の釈由美子や、わざわ
ざ米国からやってきたゴジラ・マニアの米国人イラストレーターに
加えて、AP通信東京支局の記者たちも、汗を流していたのである。

 「ゴジラのエキストラ、走って走って、ひた走る」と題するこの
記事は、「メガフォンを持ったなで肩の男が、まぶしそうに目を細
めながら、われわれのいる遊園地の広場の彼方にある入り江を指さ
し、『あそこに、ゴジラが海の中から現れます』と言った。」とい
う助監督による状況説明の場面でスタート。
 
 「走る時は、口を閉じてください。口が開いていると、笑ってい
るようにみえるので」と注意するプロデューサーや、セリフや演技
は一切なく、ただひたすら走ることが要求されること、「ヨーイ、
スタート!」のかけ声でエキストラが自衛隊員役の俳優やカメラの
脇を一斉にダッシュする様子、謝礼は支払われず昼食の弁当とゴジ
ラ・シャツがもらえるなど、参加者ならではの体験がギッシリ。ニ
ュース報道にしては珍しく「われわれ」という主語を用いた、異色
のドキュメンタリーである。
 東宝では1980年代から、製作費削減と宣伝のためにファンのエキ
ストラ出演を慣例化した。「ファンに出演してもらうと、とてもい
いコミュニケーションになる」というプロデューサーの言葉もうれ
しい。
 東長崎機関の独自情報として補足すると、大手映画会社のプロ
デューサー自らが、スタンバイするエキストラの中に迷い込んだ一般
観光客の子供を保護したり、通行止めに戸惑う通りがかりのトラッ
クの運転手に謝ったりする例は、世界広しといえども、この富山省
吾プロデューサーをおいてほかにないであろう。
この他、ゴジラ・エキストラ参加7回目の42歳の強者の「ゴジラの
ためなら何でもする」という気合いの入ったコメントや、転んで泣
きそうになりながらも根性で走り続けた9歳男児のエピソードなど
も織り混ぜ、老若男女総勢300人の奮闘ぶりを克明に綴っている。

 撮影現場の情景描写の合間に、ゴジラの歴史や文化的な意味、特
撮手法などをサラリとフラッシュバックさせながら、長くて短かか
った猛暑の一日の記録を世界に向けて発信した。

つづく