奇しくもこのメデタイ年に、米国同時多発テロが勃発。湾岸戦争やオウム事件の時もそうだ
ったが、このような世界を揺るがす大事件が起こる度に、なぜか怪獣に思いを巡らせてしまう。
映画やテレビの世界では、究極の局地災害招来体である怪獣に対して、軍隊がそれなりに手際
よく対応策を講じるが、現実の日本はどうなんだろう、と考えずにはいられないのだ。
ゴジラと初期ウルトラ・シリーズ(『ウルトラセブン』まで)は、私の原体験である。これ
らの映像の創造主は、いうまでもなく、偉大なる円谷英二。ついイケナイものに目が行ってし
まう私にとって、初代ゴジラはたまらない作品だ。核実験、被爆、破壊、放射能、殺りく、軍
隊、敗戦の傷跡、悪魔的発明、民間信仰、横恋慕……何でもアリのタブーの宝庫!核実験によ
って生まれたゴジラは、人類の原罪を負った被害者でもある。日本が誇る怪獣映画には、明確
な善悪の境界線がない。どうやら、幼い頃から、怪獣映画に潜む禁断の臭いをそこはかとなく
かぎつけ、そのうしろめたさに引かれていたらしい。遥か昔、子供の頃に、テレビで初代ゴジ
ラに出会った時、あまりにショックで、1週間ほど本当にゴジラが襲って来るんじゃないかと
心底おびえたものだった。
モスラやバラゴン、キングギドラなどの怪獣や、いわゆる怪獣プロレス(怪獣同士の格闘を
マニアはこう呼ぶ)もこよなく愛しているが、私にとってのゴジラは、何といっても1954
年に製作された『ゴジラ』。そして、自衛隊が産声を上げたのも、1954年。まさに、運命
的一致というほかない!
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