シンガポールにはHawkerCenterという大衆食堂がある。昔、中国の福建省や広東
省から渡ってきた人たちが屋台を連ねてちょっとした道具でできる麺や丼をふる
まい、独特の食文化を築いてきた。
屋台は不衛生ということで、シンガポール政府のクリーン作戦下、違法となり、
変わりに駐車場のようなコンクリート張りの空き地に屋外食堂、HawkerCenter
ができた。
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ブルネイの首都の中では、
あまり豊かでないほうの住宅街。
「家の下に車が3台しか入らない」とのこと
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HawkerCenterには30件あまりの小さい店が並び、中華麺、丼、マレー料理、
インド料理、イスラム料理を一品1ドル(60円)から4ドル(240円)という
安さで味わえる。HawkerCenterは公団住宅、ビジネス街、駅頭といったあら
ゆる場所にある。屋外は暑くて不衛生でという人のためにはFoodCourtという
冷房が効いた屋内での大衆食堂がある。価格は冷房代金が加味されているため、
HawkerCenterより2ドルばかり割高である。
HawkerCenterはシンガポールの庶民の胃袋として日本でも紹介され、その安さと
豊富な種類は観光客を感激させる。
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ブルネイの水上居住区域。
水の上は 涼しいので、
地面の上に暮らしたくない人が、
水上で暮らしている
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地元の消費者にとっては、安く、種類は豊富で待ち時間も数分と短く、こういっ
た大衆食堂はありがたい存在である。しかし料理人にとっては非常に酷である。
競争者が回りにひしめいており、値上げはできなく、また手を抜くこともできな
い。料理を待つ客の目は厳しい。出すのが遅ければ文句を言い、早ければこれは
残飯ではないかと言う。鶏の胸肉を出せば、味をごまかしていると言う。鶏の一
番おいしいところは足で、胸肉は廃棄物同然のカスだそうだ。
その反対の趣向の人もいる。客商売は楽ではない。また政府は衛生状態を厳しく
管理し、抜き打ちで見回りに来てハエ一匹でも目にすれば罰金を徴収する。
それもそうで、見ていないところでは料理人はまな板を使わないで、適当に
平らなところで肉や野菜を刻んでいる。口をもぐもぐさせながら仕込むので、
つばや汗や食べ物の切れ端が混入する。慣れれば気にならなくなるが、小さい
子供を持つ日本人の母親は気にする。現地で子供に遊び友達ができるのはいいが
、おやつを大衆食堂でご馳走になってくる。心配な母親は子供が外に遊びに出る
場合は必ずお弁当を持参させ、ひんしゅくを買っている。
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ブルネイの水上居住区域。
電話関係のアンテナかと思って撮影したが、
衛星テレビのアンテナだった
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HawkerCenterやFoodCourtで365日3食御世話になるシンガポール人は多い。人生
の半分をHawkerCenterで過ごすと言っても過言ではない。また、特に技能がなく
てもいい。私のアパートの前のHawkerCenterには金興魚鮮館というタイ料理屋が
ある。オーナーはタイで10年間働いていたシンガポール人である。タイ料理と
バンコクが大好きで脱サラした。行くと、まだ料理が下手なのでごめんなさい
ね、と頭を下げる。台湾から10年前に移住してきた福建人、広東省から半年前に
渡ってきた中国人といろいろいる。
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ラッフルズホテルは、通勤路だった。
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大衆食堂はHawker(料理人あるいは店の主)が利益を上げられる構造になってい
なく、このビジネスはビルのオーナーや地主のためにあるのである。だからなん
なのか。オーナーあるいはオーナーの知人が食材を提供しており、食材を大量に
卸すことによって利益が出るのである。従い、一見料理の種類は豊富なように見
えても元は同じだからおいしくても3ヶ月たてば飽きてくる。また、Hawkerも新
メニューで変化をつけることも考えない。オーナーに押し付けられた食材をいか
に売り切るかだけを考え、数年も同じ料理をつくり続ける。豚料理は豚にバクテ
リアが入っていたという事件があってから、減っている。魚、鶏料理が人気があ
る。
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大衆食堂で出される中国料理は中国最低の福建料理が主だそうだ。福建よりラン
クが高い広東料理もある。しかし、麺だけで100種類もあると言われている各地
方料理の伝統は、卸業者の都合でズタズタになったようである。コンビニの弁当
や菓子パンが日本の食習慣を味気なくしてしまったように、便利な大衆食堂も
元々はもっと豊かであったシンガポールの食文化を後退させてしまったようだ。
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