インフラ海外拠点インドネシア | 南の島

Lombok Island ・ ロンボック アイランド(前編)

インドネシア四方山話

メルマガ「YOGYA滞在記 -ABADI-」に掲載された
長谷川由利子さんの紀行を転載しています。

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*このメールマガジンはインドネシア、ジョグジャカルタ市での留学を終
え、現在ジャカルタで、もの書きの仕事をしている”私”が発行するY
OGYA滞在記SENYUMの読者の皆様によって作られるインドネシア記で
す。(毎週日曜日には本編である、私が書くSENYUM版がありま
す)

<発行者からの一言>
 先週、メトロTVで3度目のJリーグ中継の解説をしてきたのです
が、出演するたびにいつも願っていることがあります。それは「頼むか
ら延長にならないで」ということ。通常でも2時間半、タバコもトイレ
も我慢してスタジオにこもりっきりで私を含めた出演者たちは終了後、
ソファに横になってしまうのですが、先週のFC東京対市原はついに延
長突入で引き分け。当然放映時間も30分延長され、かつニュース番組
が途中ではいるから、ニュース中にVゴールにならないかとわれわれは
ひやひやものでした(実際、ニュース中にチェ・ヨンスがあわやという
シーンがありました)。

 それにしてもJリーグはだいぶ、インドネシアのサッカーファンの間
に浸透してきました。こうしたJリーグ放映でのインドネシアへの影響
みたいなことは後々SENYUMでお伝えしていきますので、お楽しみ
に。インドネシアでのJリーグの反響はなかなかに面白いものがあるん
ですよ。

 今回のABADIは、ABADI創刊当時から何度もご協力いただい
ている長谷川由利子さんがロンボクを訪れたときの話です。長谷川さん
が訪れたロンボクで見て、感じたものとは・・・それでは長谷川さんの
一言、ならびに本編をどうぞ。

<筆者からの一言>
 「旅は日常からの逃避、非日常の演出」、なぁ〜んて言ってても現実
を否応無しにつきつけられることもあります。そうして、自分や自分の
まわりを見まわしてみる。ほんの少しだけ昨日より違う気がする。少し
は進歩した気がする。そうありたいと願う。今日この頃です。

●長谷川さんの紀行文、及びその文章に関する写真を収めた
ホームページアドレス
 www.higashi-nagasaki.com
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----「 Lombok Island ・ ロンボック アイランド(前編)」-----

 シンガポールのチャンギ空港でさんざん時間を潰して、ロンボッ島行
きのシルク・エアに乗るためにゲイトに向かったのはお昼をすぎたころ
だった。ツーリスト半分、インドネシアン半分。最初にツーリストが機
内に乗り込みあとからローカルのインドネシアンが乗り込む。小柄な
インドネシアのお父ちゃんたち、シンガポールで稼いでロンボッに帰る
のだろう。お父ちゃんたちと座席が近かった私はちょっと頭いたかっ
た。

 ん〜ハッキリ言ってお行儀よくない。お父ちゃんたちより遥かに背の
高い同じマレー系のスッチーたちも「だからイヤなのよ、田舎ものは」
的な視線をごまかそうとやたらと目が泳ぐ。ワタシは”そうそう、これ
がインドネシア、いいぞいいぞ!”と含み笑い。

 シンガポールから3時間ちょっとでロンボッ島・セラパラン空港へ。こ
ぢんまりした国際線のイミグレーションを抜ける。ツーリストはあっさ
り通してくれるけど、ドメスティックはいろいろ、いろいろ、いろい
ろ、お金が動くらしい。

 今回はスンギギのはずれの小さなロスメン。おとなりのホテルはホモ
・セクシャルが集うホテルらしい。小さなプールがビーチに面していて
雨季なのにスイム・ウェアの○○たちが、、まぁいい、人のことだか
ら。

 バンブーと椰子で作られたササック式のロスメン。階段を上がると
ベッドがあり、階下はゴザがひいてあって大きなマットレスとクッショ
ン、柱と柱にハンモックが結ばれている。半屋外のカマル・マンディ(浴
室、)もちろんヒシャクでお水をすくい用を足すタイプのお部屋。

 着いた日の夜はものすごい雨で夜中に地震があって目がさめ、ヤシの
実が屋根を直撃して目がさめ、なかなか寝つけなかった。翌日、言葉が
うまく伝わらないことと滞在日数が少ないことでワタシは苛々し、不覚
にもバリ人の友人にあたりちらし、本当に不覚にも泣いてしまった。ワ
タシは彼らの日常的な時間の流れになじめなかった自分を、なにか特別
と勘違いしていたんだろうか。本当の自分にリセットできるというのに。
何か、なにかを勘違いしていたのだろうか。

 ・・・日本にいるときの探り合うような会話。どうでもいいゴシッ
プ。ストッキングをはいていないとイケナイ自分。すれ違うとき肩がぶ
つかっても何も言わない人同士が交差する駅。拝金主義の物欲にしか興
味がいかない日本の女のコたち。何にいくらお金をかけたかで計る物差
し。バブル期なみの拝金主義がいまだ二十歳代の女のコの精神構造を支
配している・・・

 そんな日常の世界から抜け出しているのに、一日中みどりのロンタル
椰子に降る雨やユニークな鳥の鳴き声や沈んでいく太陽を眺めてすごす
世界はワタシのなかで何かを揺さぶった。

 ・・・あなたは強くならなきゃいけないよ。あなたはラッキーだよ。
あなたはシゴトを持っていて、こうしてインドネシアまで旅行に来るこ
とができる。少なくないインドネシアの女たちが体を”売る”のは、服
やバッグがほしいからじゃない。食べるためなんだよ。日本とインドネ
シアで事情は違うと言うかもしれない。でも、あなたは強くならなきゃ
いけないよ・・・

 アメリカ人のクリスといっしょにいた華奢なインドネシアンの女の
コ。一日中なにもせず、タバコをふかしていたっけ。

            あなたはラッキーだよ。

ワタシは海からあがるとき、サンゴで足を切ってしまい薬をつけていた
時にも言われた。足を切ったことがラッキーなのか、、、?いや、リ
ゾートに来られたことをラッキーと言っているのだろう、と思ってい
た。

 自国の女が”売”っていて、言葉も満足に話せない日本の女が金の力
だけで遥々、飛行機でインドネシアまでやって来ている。日本人という
ブランド。ワタシと彼女、金の差がなかったら何がちがうというのだろ
うか。 (つづく)
                                           [2002 Mar.]

●Written by  長谷川 由利子

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              発行者 水嶋 真人
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