ヒマヒマなんとなく感想文|

粉飾の「ヒーロー」堀江貴文

(加藤健二郎 2014.1)


  ライブドア株主として損害を被った人は東長崎機関の友人にも複数いる。そんな株主氏たちの中には、株で負けたことの恥の上塗りをしたくないと、賠償請求の裁判に臨まなかった人もいる。しかし、この本の論調によると、そのように「恥の上塗り」と思うことは、株式市場というものが粉飾決算などの騙し行為があって当然のブラック業界だと認めていることになる。

 上場企業の業績数値が粉飾されているということは、間接的には、公開されている株価がウソ値であるということにもつながる。もしかすると日本人の多くは「株なんてそんなもん」と許容しているのかもしれない。そして、そういう日本人感覚がホリエモンのような株式市場を舐めた人間を生み出し、その舐めきったホリエモンを日本人の多くがヒーローにしたいのかも。堀江貴文が仮釈放されてシャバに出て来たとき、まるで「ヒーローが帰ってきたような扱いだったという。

 ライブドア株主約22万人のうち訴訟に踏み切ったのは約3千人。1審の和解額で妥協した人もいたが、2審以降まで戦った者は、かなり完全勝利に近い額で損害賠償を勝ち取った。日本の一般人には「裁判なんて負担が大きいし」と避ける方が賢いという価値観があるが、今回のは戦い抜いた側が果実を手にできた良い前例となった。警察の腐敗と戦い続ける寺澤有(インシデンツ社長)が、権力と戦うことへ誘惑する書だ。日本も「戦わない者に分け前ナシ」の時代に突入しているかもね。

〜戦った方がお得だよ〜、戦い方は伝授するよ〜、
と悪魔の囁きー寺澤有ー

粉飾の「ヒーロー」堀江貴文(インシデンツ出版)

寺澤有/インシデンツ

寺澤有の指導に従って戦ってみた連載


続く