|
【はじめに】 本州は日本海を中心点とする弓なりの形状である。先端同士の最短ルートは弧に沿 うのではなく日本海を直進するルートになる。青森と下関の最短ルートは陸上ではな く海上ルートということである。先端同士でなくても移動距離が大きいほど、中心点 に近いルートをたどる。 1997年10月1日に磐越自動車道が全通したとき、遠く離れた近畿地方以西の 高速ルートに影響が表れた。これまで、近畿地方以西と東北地方の高速ルートは、太 平洋側の名神高速道路、東名高速道路を経て、東京を通過して東北自動車道に至って いたが、北陸自動車道、磐越自動車道を経るルートの方が距離も時間も料金も有利に なったのだ。具体的には名神高速道路の米原JCT(ジャンクション)と東北自動車 道の郡山JCTの間に別ルートが形成されたということである。(◆地図1) |
◆地図1 京都南ICと仙台宮城ICの直線ルートと各ルートの配置図。 北陸自動車道経由の方がより直線ルートに近接していることがわかる。 |
米原JCT以西と郡山JCT以北のどの地点を結んでも北陸自動車道経由の方が有 利になったが、代表的な地点として、京都南IC(インターチェンジ)と仙台宮城I Cの間について比較してみた。(◆表1) 距離は56.5キロ、時間は1時間18分、料金は2150円、北陸自動車道経由 の方が有利である。 距離の短縮量に比べて時間の差が大きくなるのは、走行速度の低い首都高速道路を回 避したことによる。(首都高速道路の通過条件については後述する。) 料金の差が大きくなるのは、長距離逓減制を断ち切って東京で精算するためであ る。長距離逓減制とは、連続走行で200キロ越え分が30%割引、100キロ越え 分が25%割引になる制度で、連続走行距離が長いほど30%割引分が多くなる。東 京までの名神高速道路と東名高速道路が487.5キロで、287.5キロが30% 割引、100キロが25%割引になる。 首都高速分を支払ってから、東北自動車道の332.4キロで、132.4キロが 30%割引、100キロが25%割引になる。 つまり、全区間で25%割引が200キロ、30%割引が419.9キロになる。北 陸自動車道ルートは811.4キロで、25%割引が100キロ、30%割引が61 1.4キロになる。割引距離の差が大きいので差額が広がる。首都高速が別料金なの で高くなると思われがちだが、48キロで700円というのはとても安い。距離に比 例する高速自動車国道の料金に換算すると1400円になる。高速自動車国道を利用 するときは、なるべく連続利用距離が長い方が安くなるのである。 なお、名神高速道 路、東名高速道路、東北自動車道には大都市特別料金が課金される区間を含むため、 その分も割高になっている。(京都南ICと仙台宮城ICの間では、名神高速道路の 大津ICまで、東名高速道路の厚木ICから東京ICまで、東北自動車道の川口JC Tから加須ICまでの間が大都市近郊区間として1キロあたり29.52円になる。 普通区間は24.6円である。なお本報告では、特別な断りのない場合以外はすべて 普通車の料金を記している。) |
|
|