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対決の時代



Australia has been a terrorist target at least since the 11th of September 
2001. (オーストラリアは少なくとも9/11以降、テロの標的になっている。)3月20
日、オーストラリアのハワード首相はオーストラリア国民にこう呼びかけた。

Australia and Australians anywhere in the world are as much targets as any 
other western country and its people. (オーストラリアと世界中のオーストラリ
ア人は他の西洋の国とその国民と同様に標的になっている。)Australia is a 
western country with western values. Nothing will or should change that. 
That is why we are a target. (オーストラリアは西洋の価値観を持つ国である。
何事もそれを変えることはなく、変えてはならない。だから我々は標的なのだ。)

この演説ではハワード首相は「西洋対テロ勢力」という構造を描き出した。「西洋」
に立ち向かってくるテロ勢力は北朝鮮も含まれる。「アメリカ対悪の枢軸」。「自由
対サダム体制」。「民主国家日本対拉致国家北朝鮮」。今はとにかく対決しなければ
ならない時代なのだ。
ヨーロッパではイタリア出身の戦場ジャーナリストであるオリアーナ・ファラーチ著
の「The Rage and the Pride」(筆者訳:怒りと誇り)という本がベストセラーに
なっている。西洋の一員であるオリアーナ・ファラーチ女史は「西洋対イスラム」と
いう対決構造を描き出す。著書では
The hate for the West swells like a fire fed by the wind. (西洋への憎悪は風
で煽られた火のように膨れ上がっている。)とし、そのイスラムとはhas never 
wanted to know about freedom and democracy and progress (自由や民主主義や進
歩というものを受け入れようとしなかった)。それはreligion?(信教?)というも
のではない。それはdespotism(専制政治)というものと言い切っている。本は論争
を呼び起こした。www.nyobserver.comによると、フランスでは本の出版差し止めを求
めて反人種差別運動グループが訴訟を起こした他、ヨーロッパのイスラム団体はファ
ラーチを非難し、ファラーチに死を宣告した。より穏やかな言葉であるが怒りをこめ
て元イランの国連大使は、ファラーチはビンラディンの対極にあるものだが、根は同
じファシズムにある(present common traits with fascism)と指摘した。
(www.iranian.com)

世論調査では反戦派が過半数以上を占めるヨーロッパではファラーチの本は飛ぶよう
に売れ、すでに300万部を売り切る勢いであるとのことである。しかし、奇しもブッ
シュを後押しするイラク戦争賛成の世論のアメリカではこの本は受け入れられていな
いのである。アメリカで昨年の10月に本が発刊されていらい、4万部しか売れていな
い。ファラーチは「ブッシュこそ、アメリカの忘れていたエネルギーと威厳を持ちあ
わせている」とエールを送っているのに。


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