活動通信アナリストの眼

リサイクルでのりのりのKDDI


6月13日付けの日経新聞の一面に富士通が移動体通信に参入するという記事が載っ
た。見出しから推測するに、日経はコテコテパソコンメーカーの富士通の頭が少し柔
らかくなって、ドコモやauのようなサービス事業者になるんだというところを強調し
たかったようだ。

富士通は既にドコモやauと同じ、電気通信事業者である。通信サービスへの参入は
NTTが民営化されてからであるから、DDIの同窓生みたいなもので決して遅くはない。
ただ、富士通はあくまでも通信サービスは企業向けシステムインテグレーションの一
環として提供していたわけであり、サーバー、クライアント、イーサーネットがあっ
ての通信サービスであった。また今回の移動体通信参入に関しても富士通はその基本
路線を崩していない。

今回の参入劇で私が主役とするのは、富士通に実際PHS回線を提供することになるDDI
ポケットの親会社、KDDIである。富士通には申し訳ないが、そう考える。KDDIの
GPS機能付き携帯電話サービスは絶好調。インターネット接続ができるようになっ
て、携帯電話の次というのは何?というところに、新たな風を吹かせてくれた。そし
て、低迷するPHSに活を入れようとしているのである。

KDDIがやっていることは、技術的に新しいわけではなく、既存のパーツをあれこ
れ入れ替えてリサイクルしているだけのことだが、それが壷を得ている。実はGPS
機能付き携帯電話サービスというのは新しいものではない。4年ほど前に、鳴かず飛
ばずのGPS機能付きPHSという商品が出たことがある。この富士通の新規事業も
一種のリサイクルである。DDIの在庫を富士通が自分のパソコンとサーバーと包み
変えているだけなのだから。リサイクル戦略のKDDIは今のりのりである。この
ニュースの主役は、富士通がPHSへ本腰を入れることで一番楽して得をした
KDDIであるべきであった、と私は考えるのである。

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