ブラカットからの退却のあと、無事、トラックに乗りこめて帰路に迎えることに なった生き残りクロアチア兵たちは、手には、砲弾の空薬莢装甲車の破片などを 持っている。 「なにに使うんだ?」と訊くと 「戦争で勇敢に戦ったという青春の思い出の証だ。子供や孫に威張るんだ」と 「今回は負けたけど、全体的には勝ってる。勝てば、青春のいい思い出だ。負け れば孫たちに尊敬されない。自分の町を守り敵を追いやる最高の歴史的瞬間に参 加してるんだ。思い出の記念品は勝利のトロフィーさ。トルンフォ!」と。
ブルガットからの撤退時の写真
退却してきた兵士たちは、真っ暗闇の夜になってから、一台のトラックに拾われ た。もちろん無灯火でゆくりと走ってきた。本当に真っ暗だったのでなにも見え ない。カトケンは、このとき、セルビア軍の発射する照明弾の火点観測のために 丘に上にいたので、暗闇の中、トラックまで行くのが大変だった。兵士たちの喋 り声のみが頼りで歩いた。